妊娠と甲状腺疾患
妊娠希望の方、妊娠中の方、不妊治療中の方は
甲状腺機能低下症に注意が必要です
日本甲状腺学会が行う「甲状腺疾患・甲状腺検査推進運動」「世界甲状腺デー」などの疾患啓発活動を象徴する「バタフライリボン」
甲状腺疾患と不妊・不育症との因果関係
甲状腺機能低下症において特に注意が必要なのは「一般の方で甲状腺機能が正常」であっても「妊娠希望、不妊治療中、妊娠中の場合は正常と言い切れないケースが多々ある」ことです。また、ホルモンは変動するため、過去の検査で正常でも、その後も正常であり続けるとは限りません。
妊娠希望の方、不妊治療中、妊娠中の方は不妊症・不育症の一因となる甲状腺機能低下症がないかチェックし、適切な治療、経過観察を行うことが必要です。検査は即日結果の出る採血検査と、必要に応じて処方する薬も甲状腺ホルモン剤なので、大きな費用の負担や副作用の心配もなく、妊娠中の方にも安心して飲んでいただけます。
バセドウ病の治療について
バセドウ病ではまず、お薬の選択に注意が必要です。不妊治療中の方はもちろん、妊娠希望が少しでもある方には妊娠初期にも安心して飲める薬を選択します。薬の調節も一般の方と異なり「効き過ぎても、効かなさ過ぎてもよくありません。」一般の方よりもお薬の調節の仕方をより細かく、丁寧に行うことが重要と考えます。また妊娠中は一般にバセドウ病は良くなる＝お薬が少なくなる、場合によっては不要になることもある、とされますが、例外もあります。重要な時期ですのでより正確で、慎重な治療が必要です。
産後の注意点
特に産後は無痛性甲状腺炎が起こりやすい代表的な時期であり、また妊娠中に良くなっていたバセドウ病が悪化しやすい時期でもあります。この時期は授乳中の方も多く、無痛性甲状腺炎を誤ってバセドウ病と診断され、必要のないお薬を投薬されたり、バセドウ病の悪化に気づかず、必要な治療が遅れたりすることがないよう、より慎重に診断と治療を行うことが必要です。
妊娠希望の方、妊娠中の方、不妊治療中の方に対して、甲状腺専門クリニックで得た院長の豊富な診療経験を活かし、できる限りお力になりたいと考えています。
