クリニックブログ

カテゴリ「糖尿病について」

カテゴリ「糖尿病について」

寒い日が続いております。風邪などおめしにならないよう体調管理を万全に行っていきましょう。

さて、今回は受診いただく方が増えているのになかなか更新できていなかった糖尿病についてです。

題をご覧になって、どういう事?と思われた方も多いかと思います。寒い冬は冒頭に書いた通り、インフルエンザや胃腸炎を代表とする感染症に注意が必要なことは誰しもが思うこと。でも、なぜ糖尿病と冬???

糖尿病の治療の基本は食事・運動療法であることは以前にも書いた通りです。しかしながら・・・

寒くなると春や秋など季節が良いときにはちょっと散歩でも、と気軽にできていた運動が、家はおろか、ふとんからでさえ出るのが辛い!!→どうしても運動をする機会、頻度が少なくなりがちです。

さらに、冬はクリスマス、お正月、忘年会に新年会、職場や家族、親戚のみんなと、「今日は思う存分食べよう!」という機会が増えます。→普段は気を付けることができている食事療法もついついおろそかになりがちです。お鍋や味噌汁もおいしいからとついつい塩分が増えて、気温が低いことも重なり気がつけば血圧も高くなり、困った!

糖尿病・内分泌の外来を始めて以来、感覚としてそのような傾向は感じていましたが、冬に糖尿病・高血圧が悪化する傾向にあるというデータが、実際に有名なアメリカの英語の雑誌にも発表されています。

ではどうすれば良いか?

それは「意識すること」だと思います。

これは冬に限らないことですが、「食べ過ぎには注意が必要だ」、「無理のない範囲で体を動かそう」というような、「わかっちゃいるけど◯◯ない」という事を少しでも意識することで、無意識が招く暴飲暴食、運動不足を少しでも防ぐことにつながると思うのです。

私が外来で心がけるのは、患者さんのお話をとにかく丁寧にお伺いし、お一人お一人が「できる範囲で」、「無理なく続けられるよう」食事や運動のアドバイスを行い、その上で、お薬に関しても採血や血圧の数字はもちろん、季節変動も含めた患者さんの背景まで考慮し、きめ細かく調整を行うことです。

ホームページ本文にも書いた通り、患者さんお一人お一人の治療に臨む背景、状況はみなさん違います。であるからこそ、丁寧にお話を伺い、「必要なことを無理なく続けられるよう」、「たとえ正論であっても一方的に押し付けることは決してせず」納得していただいたうえで治療を患者さんと手を取り合って共に続けていきたいと思っています。

糖尿病でお困りの方の少しでも力になれたらと思いますので、みなさまお気軽にご相談ください。

開院して2週間が過ぎ、間もなく3週間になろうとしています。

 

前回書いた糖尿病についてもう少し続きを書いてみようと思います。

 

糖尿病の採血では空腹時血糖値(126以上で糖尿病と診断)、随時血糖値(食事に関係のない血糖値で200以上で糖尿病と診断)、食後2時間血糖値(『いただきます』と言った後から2時間後の血糖値でやはり200以上で糖尿病と診断)、そして血糖値の1-2か月の平均であるHbA1cを組み合わせて治療をすすめていきます。

 

そして合併症を防ぐためにはHbA1c<7%を基本の目標に、正常化を目指せる方には<6%を目標に、御年齢や背景、使用している薬等を複合的に判断し、状況に応じて7.5%~8.5%まで許容する、という方針が数年前に出てきています。

 

と、ここまでは、比較的一般的に行われる糖尿病の治療方針なのですが、私、および当クリニックで重視したいのが先ほども少し書いた『合併症を防ぐ』ということです。

具体的には初めて糖尿病と診断された方、あるいは今までやったことがないという方には一度は腹部エコーで膵臓や肝臓を中心としたお腹の臓器を確認し、万が一にも悪性腫瘍がないか等を確認します。そして所見があった方には定期的に検査を行い、経過を追っていきます。数年前の日本糖尿病学会の委員会報告で糖尿病をお持ちの方の場合、そうでない方に比べて、肝臓、膵臓、大腸の癌になるリスクが高いことが明らかにされたことからも、重要性は非常に高いと考えています。

また、頸動脈エコーを行い、知らず知らずのうちに首の太い血管が狭くなっていて、ある日突然脳梗塞を発症していた、ということがないようやはり一度は確認をし、必要に応じて定期的に観察を続けていきます。そして狭窄率(狭くなっている割合)に応じて抗血小板剤(いわゆる血をサラサラにするお薬)を出したり、さらに重症の場合には必要に応じて連携病院にご紹介し、さらなる精密検査をお勧めすることもあります。これは、糖尿病の方の場合、高血圧症、脂質異常症を併発しておられる方が多く、脳梗塞を発症するリスクが非常に高いため、早期発見早期予防のため、適切な検査及び治療が欠かせないと考えられるからです。

このほかにも心電図、レントゲンを用いて心臓の評価を行い、お住まいの近くの眼科で眼のチェックを行っていただくことをお勧めし、定期的に尿検査を行い腎臓の評価をし、自覚症状や必要に応じて音さや振動覚の検査を用いて神経の評価を行い、と、単に血糖値、HbA1cに代表される『数字のみを見ていくのではなく』それ以外の検査を適切に行うことではじめて見えてくる『全身の合併症の評価』を可能な限り丁寧かつ慎重に行うことで、糖尿病をお持ちの方の健康を永く守っていけるよう努めていきたいと考えています。

 

なお、これらの検査は、もちろん必要なものですが、あくまでお一人お一人に丁寧にお話を伺い、重要度の高いものから徐々に行っていく、という方針で進めていきます。ホームページ本文にも書きましたが、たとえ『正論』であっても、それを一方的に押しつける事は絶対にしませんので、安心して気軽に相談頂き、納得いくまでお話を聞いていただけたらと思います。

 

まだまだ書ききれない事はあるのですが、長くなってきましたので続きはまた次の機会に書いていこうと思います。

続けて甲状腺疾患のことを書いてきたので、今回は糖尿病について書いてみようと思います。

 

そもそも甘いものが好きで、同じだけ食べていても、糖尿病を発症される方もいれば、発症されない方もいます。その差は、一言でおおざっぱに言ってしまえばいわゆる「もって生まれた体質」が大きく影響していることが多いとされます。(もちろん例外もありますが・・・)

 

であるからこそ私は、「あなたは糖尿病です。だから食事療法を行いなさい、運動療法を行いなさい、薬を飲みなさい(あるいはインスリン注射をしなさい)!で、間食はダメ、お酒もダメ、・・・・」

というような矢継ぎ早の指導、治療はもし自分が反対の立場なら受け入れ難いなあと思ってしまいます。もって生まれた体質だから仕方ない、それが病気というものなんだ、と言われればそこまでなのですが、同じようなことをしていてもならない人もいるのになあ、とどこか納得できない気持ちが残るのではないかと思います。

 

さらにそのような状況で、自覚症状もはっきりしないことも多々あり、それなのに、全身に起こりうる合併症を防ぐべく、一生涯糖尿病に向き合い、治療を続けなければいけない、となると、自分がその立場なら「あなたは糖尿病です。だから食事療法を行いなさい、運動療法を行いなさい、薬を飲みなさい(あるいはインスリン注射をしなさい)!で、間食はダメ、お酒もダメ、・・・・」

はやはりつらいと思うのです。

 

ここで誤解のないように述べたいのですが、私は「」の内容を否定したい、間違っていると言いたいわけでは決してありません。食事療法、運動療法は車の両輪のごとく必須のものですし、それでコントロールが足りないならば薬を飲んだりインスリンを注射することも必要になるケースは多くあります。間食も可能な限り控えるべきでしょうし、きっと0が理想、お酒だって糖尿病治療の観点から良いとは言えないことはもっともです。

 

重要なのは、その伝え方、進め方なのだろうと思います。糖尿病患者さん、と一言で言っても、1型、2型というタイプも違えば、その時の病気の状態=病態、年齢、性別、育った地域で慣れ親しんだ食事の内容、仕事の内容(たとえば夜勤のある仕事で規則正しい生活が難しい、という場合)、他に治療している薬の内容、ご家族の構成、など、背景はさまざま、異なります。

 

であるからこそ、(もちろん急がないと命にかかわる場合など例外はあるのでその場合は速やかに対処するのは当然の前提として)最終的には完成度の高い、質の良い治療を目指す目標はみなさん同じであっても、その道のりは人それぞれ、いろいろな進め方があってよいと思うのです。

 

以上のような考えのもと、私は糖尿病と診断された患者さんお一人お一人のもつ様々な背景や要素を可能な限り広く考慮し、「できることから」「一歩一歩」「徐々にできることを広げていくような」治療を私はもちろんスタッフ一同と患者さんみんなで力を合わせて行っていきたい、と考えています。ふとした気になることから専門的な内容まで、お気軽にご相談ください。

 

まだまだ書きたいことはたくさんあるのですが、長くなってきましたので次回以降にまた書いていこうと思います。

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