糖尿病について~その2~
2019年06月25日 糖尿病について
開院して2週間が過ぎ、間もなく3週間になろうとしています。
前回書いた糖尿病についてもう少し続きを書いてみようと思います。
糖尿病の採血では空腹時血糖値(126以上で糖尿病と診断)、随時血糖値(食事に関係のない血糖値で200以上で糖尿病と診断)、食後2時間血糖値(『いただきます』と言った後から2時間後の血糖値でやはり200以上で糖尿病と診断)、そして血糖値の1-2か月の平均であるHbA1cを組み合わせて治療をすすめていきます。
そして合併症を防ぐためにはHbA1c<7%を基本の目標に、正常化を目指せる方には<6%を目標に、御年齢や背景、使用している薬等を複合的に判断し、状況に応じて7.5%~8.5%まで許容する、という方針が数年前に出てきています。
と、ここまでは、比較的一般的に行われる糖尿病の治療方針なのですが、私、および当クリニックで重視したいのが先ほども少し書いた『合併症を防ぐ』ということです。
具体的には初めて糖尿病と診断された方、あるいは今までやったことがないという方には一度は腹部エコーで膵臓や肝臓を中心としたお腹の臓器を確認し、万が一にも悪性腫瘍がないか等を確認します。そして所見があった方には定期的に検査を行い、経過を追っていきます。数年前の日本糖尿病学会の委員会報告で糖尿病をお持ちの方の場合、そうでない方に比べて、肝臓、膵臓、大腸の癌になるリスクが高いことが明らかにされたことからも、重要性は非常に高いと考えています。
また、頸動脈エコーを行い、知らず知らずのうちに首の太い血管が狭くなっていて、ある日突然脳梗塞を発症していた、ということがないようやはり一度は確認をし、必要に応じて定期的に観察を続けていきます。そして狭窄率(狭くなっている割合)に応じて抗血小板剤(いわゆる血をサラサラにするお薬)を出したり、さらに重症の場合には必要に応じて連携病院にご紹介し、さらなる精密検査をお勧めすることもあります。これは、糖尿病の方の場合、高血圧症、脂質異常症を併発しておられる方が多く、脳梗塞を発症するリスクが非常に高いため、早期発見早期予防のため、適切な検査及び治療が欠かせないと考えられるからです。
このほかにも心電図、レントゲンを用いて心臓の評価を行い、お住まいの近くの眼科で眼のチェックを行っていただくことをお勧めし、定期的に尿検査を行い腎臓の評価をし、自覚症状や必要に応じて音さや振動覚の検査を用いて神経の評価を行い、と、単に血糖値、HbA1cに代表される『数字のみを見ていくのではなく』それ以外の検査を適切に行うことではじめて見えてくる『全身の合併症の評価』を可能な限り丁寧かつ慎重に行うことで、糖尿病をお持ちの方の健康を永く守っていけるよう努めていきたいと考えています。
なお、これらの検査は、もちろん必要なものですが、あくまでお一人お一人に丁寧にお話を伺い、重要度の高いものから徐々に行っていく、という方針で進めていきます。ホームページ本文にも書きましたが、たとえ『正論』であっても、それを一方的に押しつける事は絶対にしませんので、安心して気軽に相談頂き、納得いくまでお話を聞いていただけたらと思います。
まだまだ書ききれない事はあるのですが、長くなってきましたので続きはまた次の機会に書いていこうと思います。