続けて甲状腺疾患のことを書いてきたので、今回は糖尿病について書いてみようと思います。
そもそも甘いものが好きで、同じだけ食べていても、糖尿病を発症される方もいれば、発症されない方もいます。その差は、一言でおおざっぱに言ってしまえばいわゆる「もって生まれた体質」が大きく影響していることが多いとされます。(もちろん例外もありますが・・・)
であるからこそ私は、「あなたは糖尿病です。だから食事療法を行いなさい、運動療法を行いなさい、薬を飲みなさい(あるいはインスリン注射をしなさい)!で、間食はダメ、お酒もダメ、・・・・」
というような矢継ぎ早の指導、治療はもし自分が反対の立場なら受け入れ難いなあと思ってしまいます。もって生まれた体質だから仕方ない、それが病気というものなんだ、と言われればそこまでなのですが、同じようなことをしていてもならない人もいるのになあ、とどこか納得できない気持ちが残るのではないかと思います。
さらにそのような状況で、自覚症状もはっきりしないことも多々あり、それなのに、全身に起こりうる合併症を防ぐべく、一生涯糖尿病に向き合い、治療を続けなければいけない、となると、自分がその立場なら「あなたは糖尿病です。だから食事療法を行いなさい、運動療法を行いなさい、薬を飲みなさい(あるいはインスリン注射をしなさい)!で、間食はダメ、お酒もダメ、・・・・」
はやはりつらいと思うのです。
ここで誤解のないように述べたいのですが、私は「」の内容を否定したい、間違っていると言いたいわけでは決してありません。食事療法、運動療法は車の両輪のごとく必須のものですし、それでコントロールが足りないならば薬を飲んだりインスリンを注射することも必要になるケースは多くあります。間食も可能な限り控えるべきでしょうし、きっと0が理想、お酒だって糖尿病治療の観点から良いとは言えないことはもっともです。
重要なのは、その伝え方、進め方なのだろうと思います。糖尿病患者さん、と一言で言っても、1型、2型というタイプも違えば、その時の病気の状態=病態、年齢、性別、育った地域で慣れ親しんだ食事の内容、仕事の内容(たとえば夜勤のある仕事で規則正しい生活が難しい、という場合)、他に治療している薬の内容、ご家族の構成、など、背景はさまざま、異なります。
であるからこそ、(もちろん急がないと命にかかわる場合など例外はあるのでその場合は速やかに対処するのは当然の前提として)最終的には完成度の高い、質の良い治療を目指す目標はみなさん同じであっても、その道のりは人それぞれ、いろいろな進め方があってよいと思うのです。
以上のような考えのもと、私は糖尿病と診断された患者さんお一人お一人のもつ様々な背景や要素を可能な限り広く考慮し、「できることから」「一歩一歩」「徐々にできることを広げていくような」治療を私はもちろんスタッフ一同と患者さんみんなで力を合わせて行っていきたい、と考えています。ふとした気になることから専門的な内容まで、お気軽にご相談ください。
まだまだ書きたいことはたくさんあるのですが、長くなってきましたので次回以降にまた書いていこうと思います。